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ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました 虚無と獣王(第二十話)

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10 名前:虚無と獣王 ◆8/Q4k6Af/I [sage] 投稿日:2009/04/28(火) 21:50:15 ID:1ZPFO2Ji
虚無と獣王
20  幕間  『翼竜』

クロコダインが平日にワイバーンを解放すると決めたのには理由がある。
先の戦いにおいてフーケはルイズを人質に取ったのだが、それがこの実直な武人に少なからず自責の念を与えていた。
かつて妖魔士団長の姦計に乗せられ誇りを捨てて人質を取った事、また大魔王との初戦でなす術もなく敗れた上に捕えられ、仲間をおびき出す為の囮にされた事も影響していたのかもしれない。
よってクロコダインはルイズを出来るだけ戦いの場に連れて行きたくはなかった。彼女は戦士などではないのだから無理に戦う必要はない、というのが彼の考えである。
仮にどうしても共に闘わざるを得ないような場合は必ず目の届く所にいて貰いたい、とも思っていた。
この時、クロコダインとしては元来自分に対する評価が低い事もあってか、果たしてルイズを守る事が出来るのかと一抹の不安を抱えていたのである。

一方、ルイズは自分の居ない所でクロコダインにそんな危険な事はして欲しくはなかった。
彼女は彼女なりに自分の実力と言う物を理解しており、それ故フーケ捕縛戦において人質という立場に甘んじた事を大層悔いていた訳だが、それとこれとは話が別である。
勿論ルイズは自分の使い魔の力量をこれっぽっちも疑ってなどいない。自分が戦いの場に居ても足手纏いである事は骨身に染みてもいる。
が、だからと言って急に実力が付く訳はないし、戦闘経験が少ないので場数を踏まねばならないし、そもそもそんな理屈で感情を制御出来たらなんの苦労も無い。
結果として、ルイズはワイバーン解放の日を次の虚無の休日にするようクロコダインに持ち掛けたのであった。
当然、主である自分が同席の上で。
この時、ルイズとしては凄い使い魔に対して自分は釣り合っておらず、なんとか追いつきたいと躍起になっていたのである。

この精神的に似通った主従は真っ向から意見が対立してしまった訳だが、結局折れたのはクロコダインの方であった。
第一の理由として、この使い魔は強面に反して主には大層甘いという一面があった。
相手が見た目10代前半の少女であるにも拘らず、強く主張されるとどうにも断りにくく感じてしまうのは一体何故なのか。
それに答えられる者は今ここにはいなかった。

第二の理由として、ギーシュがルイズの意見に賛同した事が挙げられる。
彼はこれまでの模擬戦やフーケ関係では自分の事で手一杯であり、当然クロコダインの動きを観察・分析したりは出来ていなかった。
クロコダインがどのように戦っているのか、一旦離れた場所で見る事でワルキューレの武器選択や制御に生かしたかったのである。
そしてもう1つ、彼の心中には思春期の少年らしい立派な下心があったのだが、当然そんな事はおくびにも出さなかった。

第三の理由として、モンモランシーまでもが追随した事を挙げる事が出来る。
彼女は別に戦いに興味などない、と言うか物騒な事は避けて通りたいごく普通の性格の持ち主であったが、問題はギーシュの態度である。
ルイズに賛成したコイツはもしや彼女に気があるのではないか、という考えが脳裏を過ぎったのだ。
疑惑を向けられた2人にしてみれば「冗談じゃない」「こちらにも選ぶ権利と言う物がある」等と言う台詞がオブラートに包まない状態で出てくるのだろうが、そんな質問をする訳にもいかないモンモランシーとしては嫉妬からくる猜疑心が膨らむ一方である。
正直なトコロ、王宮で流行っているファッションとかを研究し実践した方が余程ギーシュの心を鷲掴む事が出来るのだが、そこに気付かないのが彼女の彼女たる所以であるのだろう。

まあそんな訳で、『魔法の筒を開けてみよう』作戦の実施は5日後の虚無の休日という事に相成ってしまった。

11 名前:虚無と獣王 ◆8/Q4k6Af/I [sage] 投稿日:2009/04/28(火) 21:53:52 ID:1ZPFO2Ji
さて、作戦実行日までは暇が出来た訳だが、彼女たちはその間のんべんだらりと過ごすつもりは無かった。
特に一番張り切っていたのがルイズである。
前述のようにもし戦闘になった場合、自分は役に立てないであろう事は良く判っていた。
ゴーレムの腕(ひょっとしたら強固な『固定化』が掛かっていた筈の宝物庫の壁)を吹っ飛ばした失敗爆発魔法は、逆に破壊力が高すぎて殺すのが目的ではない場合すこぶる使いにくいものだ。
更に言えば、ルイズが使いたいのはあくまでまともな系統魔法である。出来る事なら失敗魔法など使いたくはない。
従って彼女はワイバーンの下調べをする事にした。
というのも幼い頃に寝物語として、敵の能力を前もって知っておけばその分戦いが有利になる、と聞かされていたのを覚えていたからである。
ちなみにそんな事を聞かせていたのは当然というか母親で、しかし情報を得た上で彼女が実際に取った戦術はほぼ真正面からの力押しであった。
情報意味あんのかそれ、と思わず突っ込んだ当時のグラモン伯は30メイルばかり宙を舞ったあげく水の秘薬1ダースとスクエアメイジの世話になり、無責任なギャラリーから勇者の称号を与えられた。
敢えて弁護するなら、彼女は情報を集めた結果として単独での力押しでどうにでもなると判断しただけの事であり、事実その通りであったというだけの事なのだが。
話が逸れた。
ルイズは春の使い魔召喚の儀式を迎えるに当り、過去の学院生がどんな生き物を召喚していたか調べた事があったが、覚えている限りここ数年ワイバーンを召喚した者はいない。
そして同級生の中にもそんな大物を召喚したという話は聞いていなかった。
今回の召喚で大物を引き当てたと言われているのは火竜山脈のサラマンダーを召喚したキュルケ、風竜を召喚したタバサ、そしていろんな意味で前例のない使い魔を召喚したルイズの3人である。
また話が逸れたが、身近にワイバーンに詳しい者がいない以上、文献を当たるしかない。
そんな訳で、授業の後にルイズが訪れたのは図書室であった。
本来、彼女はクロコダインを元の世界に帰す方法を探してここに通いつめていたのだが、学院長に『神の盾』のルーンの話を聞いてからは始祖に関わる文献も調査範囲に入る事となってしまっている。
取り敢えずその二つに関しては次の虚無の曜日までは置く事にして生物関係の書棚を漁るルイズであったが、その際高所にある本を取るのに協力してもらったのが同級生のタバサであった。
まあ以前から手伝って貰ってはいたのだが、今回も協力を願った時「急用が入らなければ見学したい」と、そんな事を言われている。
どうも前回の戦いの時にクロコダインが見せた意外な切れ者振りに興味を抱いたらしい。
万が一の時には加勢するとまで言われては、ルイズとしても断る理由は無い。まして相手は空を飛ぶモンスターだ。タバサの使い魔は風竜なので、その点でもありがたいとは思う。
正直なトコロ微妙に嫉妬心が出そうになるが、ここはじっと我慢の子であった。
さて、ワイバーンに関して書かれた本は少なかったが、纏めると以下の様になる。


12 名前:虚無と獣王 ◆8/Q4k6Af/I [sage] 投稿日:2009/04/28(火) 21:56:59 ID:1ZPFO2Ji
その姿を一口に言うと、前足の無いドラゴン。
大きさは文献によって異なるが、概ね成体で20?30メイル程であると書かれている。
尾には毒があり、更に牙と爪を駆使して獲物に襲いかかる。
体色は灰か黒、繁殖期には体の一部が赤くなるという記述もあったが定かでは無い。
知能はトカゲ並というものから人間と同程度、実は韻竜と同レベルなどと諸説紛々。
体の大きい方がメス、小さい方がオス。
ブレスの類は吐かないが、原住生物として先住魔法を限定的に使用しているという説もある。

「こんなところかしらね」
貴重な放課後の時間を2日分潰して調べた結果を前に呟いたルイズに、タバサは無言で頷いた。
当てにならない記述もあるが、これはハルケギニアに住む生き物たちに関する資料がそもそも少ないからである。
学院でもこれらのモンスターについて教える授業は無い為、当然図書室に置かれる本も多くはない。
これ以上調べるならば王立図書館へ行かねばならないのだろうが、残念ながらそんな時間はなかった。
王都まで行って調べるとなると最低でも一日仕事になるのだが、流石に授業をほったらかす訳にはいかない。実を言えばタバサはサボタージュを提案し、ルイズも少し心が揺れたのだが、それはクロコダインも喜ばないだろうと(というか叱られそうだと)想像がついたのである。
さておき、調べた情報を元にして今度は戦う場合の戦術を練らなければならない。
学院長を襲ったワイバーンは大体20メイル程の大きさだったようだ。オールド・オスマンの記憶が曖昧でないとすれば、かの翼竜は年の若い成体と推察される。
森の中にいたのを教われたという事は縄張りを荒らされたと思ったのか、それとも腹でも減っていたのか。
いずれにせよ気性は荒いものと思われた。
「クロコダインは『戦いになるとは限らない』って言ってたけど、話が通用するとは思えないのよねー……」
ルイズの述懐に、タバサは何故か難しい顔をしている。
「どうしたの?」
「そもそも」
いささかならず変わり者として有名なガリアからの留学生は、人差し指を立てて先ほど思いついたばかりの疑問を口にした。
「20年も前に閉じ込められたワイバーンが生きているのかどうか」
「…………あ!」
オスマンは形見の品として『魔法の筒』を学院の宝物庫に保管という名目で実質放置していた。マジックアイテムなのは確実だが、いかんせん使い方がさっぱり判らなかったからである。
当然の事ながら、現在まで定期的にワイバーンを開放し餌を与えていた者などいない。
いかに翼竜が強靭な生命力を持っていたとしても、20年間飲まず食わずで大丈夫だとは思えなかった。
しかし、とルイズは考える。
タバサは知らない事だが、『魔法の筒』はクロコダインの故郷、すなわちハルケギニアではない未知の世界の産物だ。自分たちの常識が通用するとは限らない。
午後の授業終了後からずっと篭りきりという事もあり、気分転換も兼ねて2人はクロコダインにその辺の事情を聞きに行く事にした。


14 名前:虚無と獣王 ◆8/Q4k6Af/I [sage] 投稿日:2009/04/28(火) 22:03:12 ID:1ZPFO2Ji
ギーシュに対する判決に関しては敢えてスルーしつつ、ルイズはクロコダインにワイバーンに関する情報を報告した。
その情報を元にし、まずどこで解放するかを検討する。学院内は論外であるが、学生たちが見学に来る以上そんな離れた場所に行く訳にもいかない。
また相手が空を飛ぶという特性を持つ以上、できればワイバーンの動きを阻害できる場所が望ましいとルイズは考える。
タバサ(というかシルフィード)が確実に助勢できるのならば話は別だが、予め『急用が入らなければ見学する』と言われていた。
逆に言えば、急用が入った場合フォローは不可能となるのである。参加を前提に考えていても、いざ本番に協力できませんとなったら目も当てられない。
ただクロコダインの動きまで阻害されるような場所では本末転倒なので、最終的に彼らはフーケに誘き出された森の中の広場でワイバーンを解放する事とした。
適度に開けた場所であり、しかし空からの攻撃は限定され、なおかつ日帰りが可能な場所はそこぐらいしかなかったのである。

一方、戦術に関しては何も決まらなかった。
というよりは、クロコダインが出たとこ勝負しかないだろうと最初から割り切ってしまっていたのである。
ルイズや男子生徒たちは色々考えようと言ったのだが、いかんせん調べ上げた情報だけではプランは建て辛かった。不確定要素が多すぎるからである。
「何度も言うようだが、別に争いになると決まったわけじゃないぞ」
そう言われてしまうと実も蓋もない訳だが。

残りの日数は細々とした雑事に追われた。
基本的に虚無の休日は生徒たちの自由に過ごして良い日であり、外出時も学校側に届け出る必要はないのだが、今回は事が事だけにそうも言っていられない。
オールド・オスマンとコルベールにはルイズが話を通し、交渉能力の高いレイナールが侃々諤々の末に課外授業単位の点数上乗せという条件を引き出した。
ただしその代わりに簡単なレポートを出さなければならず、その手の文を書くのが苦手なギムリたちからは不評を得る事になったが。
また当日の昼食を弁当にするようシエスタを通じて厨房に依頼したり、借りる馬の予約を入れたり、その間に授業に出たりしているとすぐに時間は過ぎていった。

さて、タバサ言うところの『急用』が入る事もなく、ルイズたちは無事に虚無の曜日を迎えた。
参加するのはルイズ、タバサ、モンモランシー、ギーシュ、マルコリヌ、ギムリ、レイナール、そして当事者のクロコダインの8名。
加えてシルフィードやロビン、ヴェルダンデといった使い魔たちである。
ちなみにキュルケも話を聞いた当初は参加するつもりだったのだが、出発が休日の早朝と判った途端意欲が急低下し「起きれたら行くわー」とやる気の無い返答を返された。
案の定と言うべきか彼女はこの場にはいない。多分ゲルマニア人らしい理由で夜更かしし、今頃はまだ自室で夢の中なのであろう。
出発時間を5分伸ばしたが来る気配も無い為、ルイズは清々しい笑顔で出発を告げるのだった。
現地まではシルフィードの背に女生徒たちが乗り、足には前回の様にクロコダインがぶら下がる。
ギーシュたちは今回馬車では無くそれぞれ馬を駆る事をいきなりその場で告げられた。
馬術はさして得手では無い男子たちだが、フライで飛んでいくにはいささか距離があり精神的な疲労も馬鹿にならないという理由による。
体力的な疲労についてレイナールが突っ込んだが当然と言うべきかさらりとスルーされ、マルコリヌが何故か身悶えして喜んだ。勿論それもスルーである。
いつもならレイナールと共に苦情の一つも言うであろうギーシュが、奇妙に無口で微妙におどおどしている件については敢えて誰も触れようとはしなかった。
それを優しさと取るかは微妙なところであったが。
そんな訳で彼らは悠々と空を飛ぶルイズたちを羨ましげに恨めしげに見ながら、慣れない馬に四苦八苦する事となった。


15 名前:虚無と獣王 ◆8/Q4k6Af/I [sage] 投稿日:2009/04/28(火) 22:06:54 ID:1ZPFO2Ji
かねてからの打ち合わせ通り、ルイズとタバサはシルフィードに乗って上空を旋回し、男子生徒4名とモンモランシー、それぞれの使い魔たちは広場と森の境目で待機している。
地上組の1人、青銅のギーシュは地中から現れたジャイアントモールに
「ああ……僕の気持ちを癒してくれるのは君だけだよ……少し元気を補充させてくれないか……」
などと呟きつつ茶色の毛に顔を埋めた。
顔面に土がつくのも構わずにもふもふする学友の奇行を他のメンバーは意識的に視界から外す。
唯一、クロコダインだけはギーシュに声を掛けようとしたのだが、どうにも自分の世界に入り込んでいる様に見えたので、まあいいかと自分の目的を優先する事にした。
筒を掲げ「デルパ!」と叫ぶと、次の瞬間、白い煙が辺りに朦々と立ち込め、その中から大きな影が飛び出して来る。
咄嗟に距離を取ったシルフィードの目に映ったのは自身の4倍はあろうかという翼竜の姿であった。
ワイバーンは一瞬途惑ったかのように周囲を見渡したが、すぐに地上にいるクロコダインに向かって急降下する。
(気をつけて王様! 怒ってて全然言うこと聞きそうにないのねー!)
きゅいきゅいと警告を送るシルフィードに一瞥をくれ、クロコダインは迎撃の為にデルフリンガーを抜いた。
「よっしゃー! もうなんか久々だぜこういうの!」
嬉しそうに鎬を鳴らすデルフの刀身は、敢えて錆び付いた状態のままにしてある。
あっという間に距離を詰めたワイバーンは、右の爪をクロコダインに突き立てようとした。
「ふんっ」
気合と共に爪を弾き返す。デルフリンガーが本来の姿であればあっさりと両断されていただろうが、手加減の為にわざと錆び付かせているのでダメージはそれ程ない筈だ。
攻撃は右爪だけでは終わらず左、もう一度右、更に毒を有した尾の一撃が連続して襲いかかる。
そのことごとくをいなし、避け、払いのけたクロコダインは開いていた左手にグレイトアックスを持ち、真空系呪文を発動させた。
対ゴーレム戦の時の様に相手を切るのではなく、一旦後退させる為の手段として突風が(奇しくも系統魔法でいうところのエア・ハンマーに酷似した形で)ワイバーンに襲いかかる。
突如として風の塊を喰らった翼竜は強制的に上空へと移動、しかし諦める事無く急旋回しようとして、何故か突然バランスを崩した。
慌てて翼をはためかせるが時すでに遅く、地面に叩きつけられる事こそなかったものの木を何本か途中でへし折りつつ広場に軟着陸する。
「なあ、何か動きがおかしくなかったか?」
ワイバーンの挙動を森から見ていたギムリが疑問の声をあげる。
「クロコダインの魔法が効きすぎたんじゃないの?」
モンモランシーが答えるが、それを風メイジであるマルコリヌが否定した。
「いや、確かに僕らが喰らったらおかしくなるだろうけど、あんな大きなモンスターに効果がある程には強くない筈だよ」
上空で見ていたタバサもワイバーンにダメージは無いと分析している。
もっとも、その2人もじゃあなんでと問われると答えようがなかったのだが。
実は、答えを知っているのは人間たちではなく、この場にいるクロコダイン以外の使い魔たちであった。


17 名前:虚無と獣王 ◆8/Q4k6Af/I [sage] 投稿日:2009/04/28(火) 22:09:51 ID:1ZPFO2Ji
(あー、あれはまだ精霊との契約が有効だと思ってたんだろうなあ)
(無理ないわ、だって20年も閉じこめられてたんでしょ?)
まだ主人にもふもふされているヴェルダンデと、モンモランシーの肩の上でちゃっかり観戦していたロビンが視線を交わし合う。
ハルケギニアに生息する野生動物の多くは、多かれ少なかれ系統魔法とは異なる魔法を駆使して生活している。
人間たちからは先住魔法と呼ばれるそれは、その土地に住む精霊たちと契約する事で力を発揮するのだ。
例えばヴェルダンデが馬並の早さで地中を掘り進めるのは土の精霊と契約しているからだし、ここにはいないがサラマンダーのフレイムも火の精霊とは深い関わりがある。
そしてワイバーンは風の精霊と契約し、離陸の際や急旋回の時に動きをサポートして貰っていた。
本人は預かり知らぬ事だろうが、「魔法の筒」に閉じこめられた後に縄張りから遠く離れ、また20年という月日が経った以上契約した精霊が近くにいる訳がなく、結果として彼は見事にバランスを崩す事となったのである。
地に落ちた翼竜は、それでも戦意を失ってはいなかった。というより完全に頭に血が上っていて現状を理解していないのだ。
「どうするよ相棒、2・3回ぶった斬ったら正気に戻るんじゃね?」
「斬ってどうする」
どこか期待に満ちたデルフリンガーの一言に律儀にツッコミを入れてから、クロコダインは大きく息を吸い込むと思い切り咆哮を上げた。
いつぞやの食堂の時に比べて遥かに大きなその声に使い魔たちは縮み上がり、ルイズたちは身を竦める。
そしてワイバーンは、顔面に雷撃でも喰らったかの様にのけぞり目を廻す事となった。
その間にクロコダインは相手との距離を詰める。
「よし今だ、ざっくり斬ろうぜ相棒!」
「だから斬ってどうする」
デルフリンガーを鞘に納め、グレイトアックスを背負い直すと、クロコダインはワイバーンの目の前で1回だけ手を叩いた。
パン! という音に我に返ったワイバーンは、ここでようやく目の前の生き物が年老いた人間ではないのに気が付く。
自分の1メイル先にいるのは見た事も無い獣人であった。

そこからクロコダインの状況説明タイムが始まった。
とは言うものの、彼らの言葉は人間たちが用いる言語ではない。
ルイズとタバサは戦闘はないと判断し地上へと降りたが、彼女たちの耳には唸り声としか聞こえなかった。
実際には視線や体の動き、表情などを総合してコミュニケーションをとっているわけだが、それを人間に理解しろと言うのも無理な相談であろう。
よってクロコダインとワイバーンの会話を理解できたのは同じコミュニケーション方法をとる使い魔だけとなる。


19 名前:虚無と獣王 ◆8/Q4k6Af/I [sage] 投稿日:2009/04/28(火) 22:12:25 ID:1ZPFO2Ji
人間に比べ寿命の長いワイバーンであったが、それなりに長期間閉じこめられていたという事は理解した。
それを教えてくれたクロコダインと名乗る獣人が嘘をついてはいないだろうと言う事も。
自分の縄張りに入り込んできたあのニンゲンと筒に閉じこめたという亜人とやらにはいささか思うところはあったが、まあそれも今更であろう。
問題は、一体これからどうするかである。
(縄張りはとっくに他の奴にとられちまってるだろうなあ)
(すまん)
(いやいや)
それなりに友好的に話せているのは僥倖だが、これからどうしたものかとワイバーンは思う。
餌の豊富な狩り場があればいいが、無いなら縄張りを奪うしかない。
まあそうしなければ死んでしまうだけなので文句を言っても仕方がないのだが、
(できれば楽をしたいもんだ)
とワイバーンは本音を漏らした。
そういえばいささか腹も減っている事を思い出す。
近くには手頃なニンゲンがそれなりの数いるのだが、手を出すつもりはなかった。
目の前にいる獣人はニンゲンの使い魔だと名乗っていたし、何よりその男が自分より強いという事が、落ち着いた今なら充分に察知できていたのだ。
野生に生きるモノとして相手のポテンシャルを見切るのは必須事項だが、何をどう足掻いても自分の半分もないこの獣人に勝てる気がしない。
それ程生命力というかエネルギーというか、まあそんな感じの「力」に差があるというのが本能的に判ってしまうのであった。
そんなワイバーンにクロコダインが話しかける。
(1つ提案があるんだが)
(なーにー?)
近くにお手頃な牛とか居ないだろうかと考えていて、少し間延び気味な返事をする翼竜だったが、
(住む場所がないならこの筒を塒にするのはどうだ)
(は?)
そんな事を言われて思わず聞き返してしまった。
(この中にいれば飢えはしないし凍えたり嵐に遭う事もない。定期的に外へ出したりもするつもりだ。その時はこちらの足になって貰うかも知れんが、代わりに上手い飯くらいは出そう)
真面目な顔で提案するクロコダインに、ワイバーンも真剣に検討する。
確かに魅力的な条件ではあった。
しかしこれは、使い魔でもない自分が相手に隷属しなければならないと解釈する事も出来る。この世界は決して自分たち野生の生物に対して優しくはないが、その代わり自由でもあった。
隷属かもしれない安泰を取るか、過酷と隣り合わせの自由を取るか。
(王様は信用できるよ、ぼくは彼の提案に賛成だね)
横から口を出したのは話を聞いていたヴェルダンデであった。
(私も賛成ね、まあ迷う気持ちも判らないではないけれど。何なら一度試してみて、それでもイヤならやめればいいのよ。王様は貴方の意志を尊重してくれると思うわ)
更にロビンがフォローを入れる。
(ぬう)
大した男だと感じていたが王と呼ばれる程のモノであったか。
しかし、だからといって自分がそれを無条件で受け入れてしまうのは野生種としてどうなのか、プライド的に考えて。
より深く考え込むワイバーンにとどめの一言を放ったのは、一応は同じ竜にカテゴリされるシルフィードだった。
(食堂で出してくれるお肉はすっごくすっごくおいしいのね! 外の皮はパリパリしてるのに中のお肉はお汁がたっぷりで、それがすっごい温かいのねー!)
(これからよろしくな、王様。あとそっちの竜は今の話をもっと詳しく)
あっさりと提案を受け入れるワイバーンに思わず苦笑するクロコダインだった。



第一章完結(原作第一寛部分)



267 名前: 萌えっ娘。名無しさん 投稿日:2009年08月29日 18:25
ちょっとばかし平和過ぎるのが気に入らないが、それでも普通に面白い


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